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朝岡からの手紙
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院長 朝岡からの手紙

幸せな動物病院 ~ペットを通じて人を笑顔に~ 2019年9月3日

こんにちは、獣医師の朝岡です。
私は湘南・茅ヶ崎で、アンジェス動物病院の院長をしています。

アンジェス動物病院は、2003年3月にテナントで開院し、その後2009年9月に斜め向かいの現在の場所に、
より良い獣医療サービスを提供するために移転しました。

私がどんな思いで日々動物たちと向き合っているか、そして何を伝えたいのかを書かせていただきたいと思います。

目次

1.これまでの歩み

院長

そもそも獣医師としての今が存在するのは、私が中学2年生の時に、様々な医療機関を受診した経験が原体験となっています。
近医だけでなく、有名な大学病院の教授の診察も幾度となく受けてきましたが、病気や、私が抱える不安も消えることはありませんでした。
そればかりか、人としての扱いではなく、大勢の研修医に囲まれて物のように扱われたり、時には患者であるのにもかかわらず、まるで責められているような感覚におちいったりしたものです。

ところがそんな時、一人の鍼灸師と出会いました。会ったその瞬間から、心の奥底に寄り添っていただき、そのことで救われた思いがしました。
その方は既に亡くなられましたが、私が動物病院を開業した後まで、30年近くお付き合いをさせていただきました。

このことから、「病を診るのではなく、その人自身を診ること。その根底には相手を理解し、心に寄り添うことを常に心掛けること。」ということが、本来の医療の姿であると気付かされました。
そしてこのことが、私が医療に興味を持つきっかけとなりました。
私は、動物好きだったので獣医を志すようになりましたが、今思い返せば、これが私の追求し続けている医療の原型であったと思います。

開業して間もなく、大学の先輩に導かれて、鍼灸や漢方などの東洋医学やアロマテラピー、ホモトキシコロジーなどの自然療法を学ぶ機会を得ました。
最新の現代医療と伝統的な医療や自然療法を上手に組み合わせて、ペットにとってより負担の少ない治療(補完代替医療)を実践していくことが、私の中で大きなテーマの一つになりました。

当時は、そういった補完代替医療を治療に取り入れている動物病院はほとんどなく、県内や都内はもちろんのこと、静岡県や埼玉県、山梨県などの遠方からもわざわざ来院してくださった方もいらっしゃいます。

補完代替医療を行う際に、私が大切にしていることがあります。それは、「伝統医療や自然療法に傾倒するあまりに、現代医療からペットを遠ざけてはならない。」という点です。
これは、ペットに代わって治療を選択する飼い主さんだけでなく、治療する側の獣医師にも言えることです。なぜなら、例えば東洋医学に精通している獣医師ほど、いかなる病気も漢方薬や鍼灸療法のみで治療しようとする傾向があるからです。

伝統医療や自然療法と並んで、私にとって大きな転機になったことがもう一つあります。
10年以上前の話になりますが、研修医時代にご指導頂いた動物病院の院長の計らいで、アメリカの一次診療(かかりつけ医・家庭医)の動物病院のあり方を学ぶ機会を得たことです。

それは、「ペットを病気にさせないために、飼い主さんに適切なタイミングで適切な情報を伝えて、実行していただく。」、「ペットの健康維持は、獣医師だけでなく、動物病院のスタッフと飼い主さんがチームとなり、一丸となって取り組んで初めて達成されるもの。」といった内容でした。

飼い主さんとペットが、一緒に健やかに過ごす時間を増やすために、ペットの健康寿命を延ばすこと。
それが、一次診療の動物病院の役目です。
これを実現するためには、飼い主さんに必要な情報をお伝えしなければなりません。
しかし、診察中に口頭でお伝えするだけでは十分ではないのです。

そのため当院では、診察内容をレポートにしてお渡ししています。
診察におけるレポートは、「病気の説明を受けたけれど忘れてしまった」という時に役立つのはもちろんですが、実は「来院されなかった他のご家族に正確に内容を伝えることができる」という利点もあります。
また、手術やトリミング、ペットホテルなど、飼い主さんと一緒に過ごせなかった間のペットの様子は、飼い主さんの誰もが知りたいものです。そんな時、レポートは大変喜ばれます。

こうした獣医療サービスの提供の裏では、スタッフの仕事量は相当なものになり、他の動物病院と比較にならないほど多岐に渡ります。
アンジェス動物病院に就職して半年が過ぎても、「全部の仕事が覚えられるのかな?」と不安に思うスタッフもいるほどです。
それでも、そこまでしてでも私たちにはやりたいこと(やるべきこと)があります。

2.大切なペットの健康だけでなく、飼い主とペットの日常生活をサポート

飼い主とペット

当院のトリミングサロンでは、トリミングの施術前に毎回獣医師の診察(健康チェック)を受ける方が5割を超えています。そしてトリミングを利用する頻度は、1ヶ月半の間隔で利用される方が6割以上いらっしゃいます。

これは、「ペットの具合が悪くなってから来院するのでは、既に悪化している状態になっていることが多い。」、「ペットが病気の際に、表に現れるわずかな症状というものは、飼い主さんが普段一緒に生活をしていても、意外と気がつきにくいものである。」という現実があります。
だからこそ、「健康な時から定期的に来院して欲しい。」、「それも、少なくとも2ヵ月に1回は来院して欲しい。」という想いが伝わったからこそだと思います。

また、当院では定期的な血液健康診断をお勧めしています。そして、当院に通院されているほとんどの飼い主さんが、わが子のために血液健康診断を受けてくださいます。
血液健康診断は、検体数が多いことから院外の検査センターを利用しています。その検査を担う会社から、「どうして血液健康診断をする飼い主さんが、毎回こんなに多いのですか?」、「どんな風にお勧めすれば、飼い主さんが理解して実施していただけるのですか?」と質問されることがあります。

様々な理由や仕組みもありますが、一番大切なのは、「飼い主さんと関わる頻度を多く持っていることから、しっかりとした信頼関係を結べている飼い主さんが多い。」ということです。
私たちのペットに対する想いと考えが、利用される飼い主さんにしっかりと伝わっている結果だと思います。

それから、当院ではペットホテル・サービスを利用される方が多くいらっしゃいます。しかも、いわゆるゴールデンウィークやお盆休み、お正月休みに限ったことではなく、長期休暇とは無関係な日にも利用していただいています。そして、ペットホテルを利用中に健診をしたり、トリミング・サービスを併せて利用される方がほとんどです。

ペットホテルの部屋数には限りがあるため、お預かりできる頭数は限られますが、できるだけご要望にお応えし、このような健康時に来院いただくことが大切であると考えています。
また、ペットが理由で旅行を諦めることなどなく、ペットとの生活を謳歌していただきたいと思っています。

このように、大切なペットが健康な時からご来院いただくことで、ペットが病気の時では話せない些細なことや、日常のお困りごとをお聞きする機会を日頃から作ることができます。そのため、いざペットが事故に遭ったり、病気になったりした時でも、直ぐに深い話ができる関係性が構築されるでしょう。これはとても大切なことだと思います。

最近では、「(ご自身の)体調が悪くて、犬の散歩が十分にできない」、「帰宅時間が遅く、適切な時間に食事をさせてあげられない」、「投薬ができない」などのお困りごとにも、可能な限りアンジェス動物病院がサポートしたいと考え、ペットシッティング・サービスを始めました。

そして今では、そのペットシッティングを担うペットシッターの方々が、多く集まってくれています。

このように、より多くの方のお力を借りてペットを飼いやすい環境を整備し、ペットが病気になりにくい生活ができるようなサポートを、少しでも多く提供していきたいと考えています。

3.ペットを飼うことは人生をより豊かにすること

犬と猫

ペットから元気をもらいたい。寂しいから癒されたい。そんな動機から、ペットを飼う方がいらっしゃいます。
そして、もちろんペットはその気持ちに応えてくれるでしょう。
でもそれだけでは、今度はペットが飼い主さんが居ないと不安になり、心を病んでしまうことがあるのです。

また、ペットが病気になったり、介護が必要になったりすると、ペットを中心にご家族が生活するようになり、ゆくゆくはご家族全員が疲れ果ててしまうケースも見受けられます。

そんな時も、私たち動物病院がペットと飼い主さんのお力になりたいと思っていますが、それ以上に、事前に、なるべく早期の段階から一緒に対応策を考えることができたら、結果は随分と変わってくるのではないでしょうか。

当院では、一家族一家族の診療時間をしっかりと確保するために、予約制診療(時間帯予約制)を取り入れています。
「予約制で丁寧に診てもらえるのに、レポートまでいただけるなんて凄い!」、「些細なことまで相談できたのに、この料金でいいんですか?」と言われることがよくあります。

しかし言い換えれば、予約制診療では、外来の診察は一定の件数しかお受けできません。また、手術数もしかりです。
ただ、私が動物の医療で実践したいことは、数多くの診察や手術に追われることではなく、「ペットはもちろんのこと、ご家族にも寄り添う」ことなのです。

「こんなはずじゃなかった」という思いは、飼ったその時から起こり得ることです。
そんな時に、飼い主さんの一番傍にいて、アドバイスができればどんなに素晴らしいことかと考えます。

ペットは人間より寿命が短いため、ほとんどの場合、飼い主さんよりも早く亡くなります。
ペットが天国へ旅立つその時も含めて、後悔ではなく、「この子がいてくれて良かった」という感謝の気持ちが湧き上がってくるようであって欲しいと思っています。

ペットと飼い主さんの双方が健康になり、人生をより豊かにするために集う場所が、私たちの考える動物病院です。

4.ペットを飼うのは意外と大変!?

 

私が診察を行っていると、このようなペットが意外に多くいます。

  • 家の中が好きで、散歩が嫌いなワンちゃん
  • 犬が嫌いで、他の犬に会うと吠え続けてしまうワンちゃん
  • 偏食で、好物やおやつをトッピングしないと、ドライフードだけでは食事を食べてくれないワンちゃん
  • 家族以外の人に会ったことがなくて、人を見ると怯えてしまうネコちゃん
  • 家から一歩も出た経験がないので、出かけることが怖いネコちゃん

動物

この子たちは、入院が必要な状態になった時に、適切な医療が施せない可能性があります。
また、ペットホテルに預けても、その間中恐怖と不安に襲われ、ストレスにさいなまれているかもしれません。
それから、トリミングサロンのテーブルに乗せられている間中、怖くて震えているか、怒り続けていたりしているのです。

 

ですが、そんな子たちのほとんど皆がお家にいる時はとてもいい子で、その瞳で、フワフワの柔らかい毛と温もりで、ご家族を癒してくれています。
それなのに、お散歩で、病院で、ペットホテルで、トリミングサロンで唸ったり、噛みついたり・・・。
または、飼い主さんがいなければ食事を一切食べなかったり、排泄を全くしなかったりというケースもあります。

それは、恐怖であったり、どうしていいか分からない混乱や不安からきていることがほとんどです。
わが子であるペットたちは、残念ながら人間ではありません。
そのため、ペットたちには人間の社会で快適に生きていく術をちゃんと教えてあげなければならないのです。
適切に教えてあげることができなければ、ペットが分からないのも、できないのも当然です。
日頃、私たちを癒してくれているペットたちに、私たちは負担を強いているとも言えます。

人間の社会で上手に生活していけるよう、感受性が豊かな成長期の一定期間に施す訓練を社会化トレーニングと言いますが、この訓練はその子の一生を左右する上でとても大切なものになります。
当院では、子犬の社会化トレーニングとしてパピーパーティーと呼ばれる会を開催しています。また、パピークラスというしつけ方教室も開催しています。

社会化トレーニングをしたワンちゃんは、病院にも喜んで来るようになるので、飼い主さんの精神的な負担もかなり軽減します。
でもこれは入り口であって、その先もどのようにペットと接していくか、ご家族の状況もペットの状態も変わっていく中で、適宜考えていかなければなりません。
これは、獣医師だけでも動物病院のスタッフだけでもなかなか難しい話です。そのため、当院では訓練士やドッグトレーナーの力をお借りしています。

一人でも多くの飼い主さんが、問題やお悩みを一人で抱え込むことがないように、またネットに溢れる不確かな情報に惑わされることがないように、ペットと関わる様々な職業の方とも更に協力して、アンジェス動物病院は“大切なペットの健康だけでなく、飼い主さんとペットの日常生活をサポートします”。

動物病院が、病気の時はもちろん、健康な時から来ていただける場所であること。
問題の解決だけではなく、問題を事前に防止する、未病の段階から養生するために利用できる場所であること。
また、ペットを飼っている方だけでなく、ペットにサービスを提供したい方が利用する場所であることを、私たちは望んでいます。

私たちが実現したいことは、“動物病院が地域のプラットフォームとして、人々が集う場になること”。

そのために、「私たちはペットはもちろんのこと、人にも寄り添い、人と人を繋ぎたい。」と考えています。

5.アンジェス動物病院は変わり続けます

 

アンジェス動物病院

当院ではそれぞれ役割は違えど、獣医師だから、動物看護師だから、トリマーだからといった職業で、動物病院スタッフとしての役目に線引きは不要だと考えてきました。

その甲斐もあって、当院のスタッフは皆、どうしたらお役目を果たせるか、それぞれが考えるようになってきました。更には、ドッグトレーナーやペットシッターの方々など、外部のサポートスタッフとして協力してくれる方が増えてきています。

動物病院には多様な方が集まりますが、その誰しもが「ペットを大切に思う気持ち」に違いはありません。
共通項のある仲間ですから、色々な職業の方が「ペットを大切に思う気持ち」で集まり、お互いを知って協力すれば、今までなし得なかったことが達成できるようになり、もっとペットに優しい社会が実現できると考えています。

私にとって獣医師とは、「ペットを通じて、飼い主さんはもちろんのこと、ペットに関わる様々な方を笑顔にする職業」なのです。

6.最後に

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
もしこのメッセージを読んで、一つでも共感して下さったなら、とても嬉しく思います。
この文章も勝手に紹介してもらっても構いません。

この手紙を読んで、「動物病院に対する見方や向き合い方が少しでも変わる」、そのような方が増えれば、書いて良かったと思います。まずは、気軽に動物病院に足を運んでください。
そして、動物病院のスタッフ、もちろん獣医師、何でも話してみてください。

今後もご縁を大切にして、関わった方が皆幸せになるよう、精一杯頑張っていきますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
そして、より多くの方がペットを飼って、人生をもっと謳歌されることを願っています。

それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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